5月 12th, 2016
保育園増設だけではないということ
こんにちは。シンカ代表の手島です。
ゴールデンウィーク中の気になった記事の続編です。自分の備忘の意味も込めて引用だけ残しておきます。
子育てしやすい社会 どうつくる2016/5/5付[有料会員限定]
昨日のエントリでは荒川区長さんのコメントの部分を取り上げましたが、そのほかの3人の識者のコメントで大事だなと思った部分を引用しておきます。
■「多様なニーズ把握して」 家事代行仲介サイト運営 和田幸子氏
ただ「保育所を増やせ」という点に議論が集中していることには危うさも感じる。「女性」とひとくくりにされるが、状況は多様だ。生活のために働いている人もいれば、自己実現のために働いている人もいる。それぞれ求めるものは違う。
認可保育所はどちらかというと生活のために働く人向けのサービスだろう。自己実現のために働く人はお金がかかっても多様なサービスを求めており、サービスを増やすための規制緩和こそ重要になる。
■「保育士定着へ職場改善」 こどもの森会長 久芳敬裕氏
政府の対策は「保育所の開設ありき」に映る。確かに子供を預けたい親は増えており、保育所の数を増やして対応せざるを得ない面はある。しかし保育士を十分に確保できていないのに、事業者が保育所を開いてしまうケースもある。これでは保育の質が著しく低下する恐れがある。
ただ保育士は「職場の人間関係」や「子どもが生き生きしているかどうか」を見て働く場所を決めることが多い。愛情を持って園児らに接することができる環境がなければ長続きしないだろう。人間関係で嫌な思いをすると二度と戻らない。
■「付け焼き刃の政策脱せ」 保育システム研究所代表 吉田正幸氏
政府の待機児童の緊急対策は付け焼き刃な側面が否めない。保育所の職員や面積の基準を下げていいから児童を受け入れてくれと国が促すのは本末転倒だ。質を上げると量は満たせず、量を増やすと質は満たせない。矛盾する問題を解決するには財源を確保することしかない。
今は家庭だけで子供が豊かに育つ環境ではない。地縁も血縁もなく、地域のコミュニティーも希薄だ。乳幼児期から社会全体で子育てを支えれば子供は健やかに育つ。子育ては投資に対するリターンが極めて大きい政策だ。社会が一定の手を差し伸べるべきだ。
最後にこのインタビューの掲載をまとめた日経記者のコメントです
■育児世帯向け社会保障厚く
保育所の数や定員を増やすことは喫緊の課題だが、育児と仕事の両立を支える唯一の方法ではない。
ブログ問題で高まった育児と仕事の両立支援の機運を政権の選挙対策に終わらせないことが重要だ。
保育施設の充実、保育士の待遇改善も重要な問題ですが、それも打ち手の1つであり、問題は多岐に渡っていることを覚えておくことが大切です。