10月 8th, 2014
アメリカ国籍の中村教授ノーベル賞受賞に思う
こんにちは。シンカ代表の手島です。
ノーベル賞受賞のニュースが入っています。
数年前から可能性が報じられていましたが、3人の方の功績はたたえられてしかるべきなのでしょう。
でも約20年前の「青色LED訴訟」問題も記憶にあるという面で今までとは違う印象のニュースになりました。
やはり「出る杭は打たれる」日本の環境と、
それを突き抜けてまでやり遂げる強さが必要なんだなと実感せざるを得ません。
お恥ずかしながら、中村教授がアメリカ国籍を取られていた事を知りませんでした。
日経ビジネス誌に4年前の「敗軍の将」のページに記載があったとのこと。当時目にした記憶があります。
ノーベル賞学者は10年前、「敗軍の将」として何を語っていたか
小笠原 啓 2014年10月7日(火)
「こんな国では、もう仕事なんてできませんよ」
2014年のノーベル物理学賞が、米カリフォルニア大学の中村修二教授ら日本人3に贈られることになった。一報を聞いて記者の脳裏に浮かんだのは、激烈な口調で不満をぶちまける、怒りに満ちた中村氏の表情だった。
という記事ではじまります。記事の最後の部分を引用します。
(地裁の600億円から)高裁では6億円でしょう。せっかく企業が(報酬制度を)考え始めたのに、明らかに逆行してしまった。技術者の方々から「愕然とした」というメールがたくさん来ましたよ。こんなので納得したらダメだというお叱りも受けました。皆さん意気消沈しています。
地裁判決の後、私は「子供に夢が与えられた」と言いました。プロ野球選手になりたいと思うように、子供が優秀な技術者になりたいと思うんじゃないか。でも、6億円では厳しいですね。巨人の選手なら1年で6億円稼げますよ。5年間で30億円です。
日本の技術者全員の敗北
しかし企業に勤める研究者、技術者はどんなに頑張っても、一生に1度の大発明をしても6億円しかもらえないんです。サラリーマンならそれで我慢しなさいという意味ですよね。
極端ですが、企業研究者や技術者はカネの話をしたらいかん、黙々と会社に滅私奉公しろと、高裁は言っているわけですよ。お前らは奴隷だから、もう何もやらんと言うのに等しい。結局日本では大企業が一番で、個人はどうでもいい。これまでと全然変わっていないんです。
今回の裁判にも多少の意義はあったと思います。しかし裁判所は、大企業中心の現状を維持する判断を下しました。ちょっとは良くなったかもしれませんが、技術者が抱いている閉塞感とか(企業社会の)システムを大きく変えることはできませんでした。そういう意味では、日本の技術者全員の敗北だと言えると思います。
本当に悲しいことですが、裁判所が保守的である限り日本は何も変わらない。技術者が全員海外に出ていって、日本がおかしくなるまでは真剣に考えないんじゃないでしょうか。
「こんな国では、もう仕事なんてできませんよ」。冒頭で紹介したこの言葉を残し、中村氏は米国へと帰っていった。そして今も米国を拠点に研究を続けている。
2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長は、本誌の取材に対しかつてこう語った。「中村先生は勇気を持って、当然の権利を主張したと考えています。その彼が、今は米国で教壇に立っている。日本人としては寂しいことです。すごい技術を開発した研究者に、日本の若い人たちが学び、後に続くことができたら、どれだけ素晴らしいことか」。
巨人軍の選手なら1年で対価分…は言い得て妙です。
日経新聞のインタビュー記事に「日本人として誇りに思う」と書いてあったのがせめてもの救い。
日本という国を全否定して怒って出て行ったと思っていましたから。
アメリカ国籍取得はインタビュー記事にあるように、軍事予算をつけて大きな予算で研究を続けたいからだと信じたいです。
中村教授「物理学賞での受賞には驚いた」 ノーベル賞
2014/10/7 23:53
――米国籍を取得した理由は。
「こちらの大学で研究する上では、米国籍がないと軍の予算がもらえないし、軍に関係する研究もできない。それで市民権を取得した」
――日本人として受賞したことについてはどう思うか。
「もちろんうれしい。日本は小さな島国だが、今回3人も受賞したことは、日本人として誇らしく思っている」
こんな記事もありました。
ホリエモンの好き嫌い、賛否は別として
日本ではベンチャーが育たない。金儲けは悪い的な風土でいろんな芽が育たない…という2人の論調には賛成です。
停滞気味の日本は今のリーダーに預けてもおそらく周辺国と衝突するだけでグローバルな時代に乗って行けないと危惧しています。
中村教授のような真のとがった人にスクラップ&ビルドしてもらわないと治らないではないでしょうか。
受賞という喜ばしいことの反面、今後に希望を見いだす気持ちが持てない暗さを感じてしまいました。